目の前の仕事に取り組むことは大事だが、本当にやりたいことを考えるのを諦めてはいけない

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こちらのブログでは、私が米国にMBA留学をしながら考えている、教育、キャリア、ビジネス、テクノロジーに関連するトピックについて、徒然なるままに書き連ねさせていただきたいと思います。初回は、キャリアをめぐるふたつの議論についてです。

キャリアをめぐるふたつの議論

「自分の理想の仕事をどうしたら掴むことができるのだろうか?」

キャリアをめぐるこの議論では、必ず、「まずは目の前の仕事を一生懸命やってみよう」「自分が本当にやりたいことを見つけよう」というふたつの意見が出てきます。思い返してみると、大学時代から今に至るまで自分のキャリアにおける判断も、このふたつの軸の中で揺れ動いてきたような気がします。そして今、私はこのふたつの意見にはどちらも真実があると思っています。

目の前の仕事に取り組むことで、自分を知る

学生時代、私は自分のやりたいことがわからず、ベンチャー企業の法人営業として働き始めました。そこで目の前の仕事に必死に取り組む中で、自分が本当に得意なこと、面白いと感じることを見出し、20代半ばで投資銀行に転職しました。一見、ベンチャーの法人営業と投資銀行はつながりが無いように見えますが、私にとってはつながりがあります。法人営業の仕事に取り組む中で、自分は、顧客企業の複雑な問題を解きほぐす面白さや、いろいろな人と出会い交渉をする面白さに気づきました。いずれも、学生の頃にはそれほど自覚していなかった面白さです。そこで、より大きな企業の課題と交渉の舞台を求めて、投資銀行への転職を志しました。まずは、自分が少しでも関心のある分野に飛び込んでみれば、仕事に取り組む中で見えてくることは、間違いなくあります。

本当にやりたいことを考えるのを諦めてはいけない

一方で、私は自分が本当にやりたいことを考え続けることも大事だと考えています。私は現在、米国にMBA留学をしており、これからのキャリアを模索する20代後半〜30代前半のMBA生と話す機会が多くあります。しかし、20代にさまざまなビジネス経験を積んできた人たちが多いにも関わらず、少なくない数の学生たちが周囲の動向や流行に影響されふらふらと卒業後の進路を決めていきます。私が大学時代に悩み、仕事に励みながらも頭のどこかに引っかかっていた、「それで、君は何がやりたいのか?」という問いに、世界から集まる30歳前後のMBAの学生たちも、同じように悩んでいるのでした。

そんなある日、英国に留学するある日本人MBA生と話していたところ、彼女はこのように言いました。

「自分が何をやりたいのか本当にわかっていれば、仕事は探せる」

目の前の仕事に励むことで見えてくる世界があることは事実です。しかし、仕事に必死に取り組んで来ただろう多くのMBAの学生たちが悩んでいる姿を見ながら、仕事にただ一生懸命取り組むだけでは自分がやりたいことには決して辿り着けず、辿り着くためには結局自分で考え続けるしかないのだと思うようになりました。

彼女は、もうひとつ面白いことを言っていました。

「30歳をすぎると、保守的になって考えることを諦める人が増えてくる」

私は、自分のキャリアについて考えることを諦めることは危険に思えてなりません。多くの企業では、40歳前後までに、企業から見た社員の選抜が行われます。もしかしたら、40代半ばには私は会社から見て不要な人材とみなされているかもしれません。どんなに努力をしても病気になるかもしれないし、あるいは、変化の早い時代に勤めている会社自体がなくなってしまうかもしれません。そうした時に、誰が自分の将来について真剣に考えてくれるでしょうか。それは、自分をおいて他にありません。そして、その瞬間が来てから自分の未来をあれこれ案じても残念ながら手遅れなのです。

これは、40歳定年制の提言にも通じる考え方かもしれません。現代では高度成長期のように会社に人生を委ねられないのなら、大変でも自分のことは自分で考えるしかないと私は考えています。

Image courtesy of Stuart Miles / FreeDigitalPhotos.net