今どきのインターンって?(Hatch『超難関インターン完全攻略本』)

超難関インターン完全攻略本

超難関インターン完全攻略本

最近の新卒のインターン事情について知りたく、日本から取り寄せた本。実際にプロセスを経験した学生がインターンの選考と内容についてまとめています。編集をしているのは現役の学生さんたちのようですが、まさかはるばるシカゴに取り寄せて読んでいる人がいるとは、執筆者たちも思っていないかもしれません。

これだけインターンが掲載されていて、実際に仕事を経験するものはほとんどない

ざっと一読してまず感じたのは、これだけ「インターン」が掲載されていて、実際に職場で仕事を経験できるものはほとんどないということです。ベンチャーを除けば、ソフトバンクぐらいでしょうか?アメリカの感覚で言えば、日本でインターンと呼ばれているもののほとんどはコンペティションかセミナーで、インターンではありません。

企業は学生の「能力」を測りたい

外資系投資銀行やコンサルティングの項を読んでみて、会社の側から繰返し出てくる言葉が「知識ではなく論理的に考えられるかを見ている」というものです。これらの業界だけではなく、どの会社でも、選考では、思考力、コミュニケーション力、協調性、性格、といったものを見ようとするでしょう。

そこで、印象に残ったのがゴールドマンサックスのインターン内容です。コメントにも「投資銀行のなかではかなり異質の内容」と書かれていますが、インターン概要はスマートフォンの新規アプリを考える、M&A提案といった内容でない理由は「経験者とそうでない者での知識の差が激しく、純粋な能力がはかれないから」とされています。

MBAインターンであれば、仕事に必要な知識を学んできて事前準備しパフォーマンスを出すのが当然ですが、少なくとも日本の新卒では知識もつけて来てね、ということは期待できないということが理解できました。

事前知識で差がつく内容でも、数日見ればその人の能力や性格は見られると思いますが、ゴールドマンは期間が1日(それはもはやインターンではないですが)なので、こういう建て付けにしているのでしょう。

学生にはエクストリームな発言が印象に残る

レポートを読んでいると、「社員の◯◯という発言が印象に残った」というフレーズがたくさん出てきます。なるほど、社員の何気ない一言に学生の会社に対する印象は大きく左右されるのだなと理解できました。

一番面白かったのは、メリルリンチ投資銀行

圧倒的なマフィア感

「いいですか〜みなさん、寝食を忘れ昼夜問わずですよ〜」がひたすら印象的。また、「我々正直一つ一つの仕事にキャリアがかかってますから」もひたすら印象的。インターン中のランチに、一度クビになって戻って来た人を出すのも印象的。もはや一言では語れないメリルリンチ、常人では即刻退場させられてしまうマフィアに近い印象を受けた。

厳しいことを伝えて学生をスクリーニングする必要があるのはわかりますが、「寝食を忘れ昼夜問わずですよ〜」と、「〜」がついて学生に伝わり、宗教のようなブランディングで良いのでしょうか(笑)。

多くの学生はインターンに「良い経験になりそう」という程度の意識で参加しているのでは

全体的に、「参加してみるとこんな内容だった」という書き方が多い印象。逆に言うと、事前に「こういうことをやる」とはっきり伝えられていて、「それを経験してみたいからやる!」という学生はあまり多くないのかなという印象を持ちました。自分が学生の時を思い返しても、そうかなとは思います。やってみないとわからないし。

エントリーシートの質問が難しい

エントリーシートの質問がやたら難しい。一番しんどいなと思ったのはP&G。(いずれも、500字から700字程度)

  • 解決したい課題や問題について、重要な関連性のある情報(データや事実など)を見出し、その課題や問題の根源をつきとめ、解決策を提案した結果、望ましい成果を挙げた経験について
  • グループのなかでリーダーシップをとって方向性を示し、グループメンバーから協力を得て優れた結果を出した経験について
  • これまでに自分が著しい結果を出した時のことについて
  • 自信の周りで起こった変化によって、いつもより柔軟になることが必要になった時の状況と、その対処方法について
  • 自分と異なる背景や経歴、または考えを持っている人々と、建設的な関係を築き上げ、よりよい結果を出した例について

P&Gが難関なのは承知していますが、これらの質問に答えるのは若手社会人でも至難だと思います。就職活動をする学生は、大変だなと。

電通はすごい

最後に余談ですが、電通の「あまり実現可能性にとらわれないように。電通だから、何でもできる」という社員の発言は凄いなと思いました。広告というインフラを支配すると、本当に何でもできるんだなと実感します。インターンの内容も「アイデアの生み出し方」や「コピーの書き方」を業界の重鎮から学ぶということで面白そうで、是非私も受けさせていただきたい!でも、「立ち食いそば屋に行きたくなるキャッチコピーを10個、30分以内」とか、こういうエントリーシート、面談に私は太刀打ちできないので、無理ですね。無い袖は振れません(笑)。