Risk Taker. Visionary.

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Original: Mohammad Jangda/Flicker

「自分の人生の戦略を考える」授業

今学期、大学でDavis教授のBusiness Policyという授業を履修しています。何の授業かと聞かれると説明しにくいのですが、自分の強みや弱み、リーダーシップのスタイル、関心などを理解して、「自分の人生の戦略」を考えよう、という授業でしょうか。教授の研究対象は、リーダーシップ、戦略、クリエイティビティといったエリアなのですが、シカゴ大学で50年以上教鞭をとり、読書量も半端ではない教授は、人生経験が豊富すぎて教授の語りだけで授業が含蓄に溢れているという、彼でなければできないスタイルで授業が進んでいきます。

Risk Taker vs. Observer

さて、先日彼の授業で、ふたつの異なる役目になりきってクラスメイトと簡単なロールプレイングをしてみるというエクササイズがありました。最初のロールプレイングは、リスクテイカーと観察者。隣に座っていたKatieと早速話しはじめます。

私「・・・ロールプレイングでリスクテイカーになりきるって、どうしたらいいと思う?」
Katie「そうね、よくわからないね」
私「(隣のSteveに)Steve、僕らは何をしたらいいんだい?」
Steve「ノーアイディアだ!」

というわけで、私と隣に座っていた二人ともわりとおとなしい性格だったため、リスクテイカーのロールプレイングはいまいち盛り上がらず、僕らはリスクテイカーと観察者について特徴を話し合うことにしました。

Katieと話をして私が学んだのは、リスクテイカーと観察者は喜びのツボが違うということです。観察者は、周囲で何が起こっているのかを深く理解することに喜びを見出します。会議で、Aさんは本当はこの提案に不満なんだろうな、とか、Bさんは興味がなさそうだな、とか、そうやってまわりを観察することに喜びを見出しやすいです。

一方で、リスクテイカーは何かを達成することに喜びを見出します。当たり前ですが、リスクをとるためには、リスクをとって何か実行したいことがあるということです。つまり、リスクテイカーになるには先に実行したい目標や欲がなければなりません。ロールプレイングでリスクテイカーを演じてみてと言われた時にうまく演じられなかったのは、何よりも目標や欲が思いつかなかったということが大きかったと思います。

どちらも、気づいてみると「確かにそうかもね」ということだと思います。しかし、「リスクをとって行動するには先に成し遂げたい何かが必要」だということは、よくよく考えてみると大事な意味があるように思います。自分が働いていた時に、どれだけそもそも自分に「成し遂げたいこと」があったでしょうか?

Visionary vs. Analytic One

もう一つのロールプレイングは、ビジョナリーと分析者、でした。

Katie「私は、こんな大きな家が欲しいの。友達を呼んでバーベキューのできる庭があって・・・」
私「それは実現するのにお金がどれぐらい必要なの?どうやって稼ぐの?」

こんなやり取りを繰り返していると、分析者というのはとてもイヤな人に思えてきます。ロールプレイングの後のディスカッションでは、「ビジョナリーを演じた後に分析者になると、自分の発言にイライラした」と言っている人もいました(笑)。

私がビジョナリーを演じてみて一番感じたことは、大きなことを語るのは簡単だが、自分が打ち上げていることを相手に「本当にこの人は言っていることをやりそう」と納得してもらう(convince)のはとても難しいということです。私は、「多くの人々に感動を与える世界旅行記を自分は書くんだ」というようなことを話してみたのですが、自分で話しながら「説得力ないな〜」と思ってしまいました。自分の言っていることは、夢やホラではあるかもしれないけど、実現しそうにないのです。残念ながら、Katieもあまり信じてくれなかったようです。

今、アメリカ人にビジョナリーは誰かと質問したら、イーロン・マスクの名前をあげる人はかなり多いと思います。彼は、テスラモーターズという電気自動車の会社を創業し活躍している起業家です(サンフランシスコでテスラのModel Sを見た時、私は結構感動しました)。彼は、電気自動車の会社をゼロから作るなんて無理だと言われていたところ、テスラをゼロから立ち上げて(少なくとも今のところは)かなりうまく経営しており、さらに宇宙分野でも活躍しています。何もないところから何かを人々に信じさせられる力、言葉にすると簡単ですが、多くの人が無理だろうと思うところからそれを実際にやってのけてテスラを成功させロケット開発を手がけてしまうイーロン・マスクはやっぱり凄いのだなと、たった10分のロールプレイングからそんなことを考えました。私は、世界旅行記を書くというやろうと思えばできそうなことすら、Katieを納得させられなかったのですから(涙)。

いろいろな「役割」を演じてみて、いつもの自分と違う考え方をしてみる。考え方の手法としては知っていましたが、真剣にやってみたことはこれまでありませんでした。面白そうだと感じたら、みなさんも「演じて」みてはいかがでしょうか?