仕事を何年かすると誰でも慣れて飽きる、次はどうする?

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Original: Flickr/GotCredit

以前、印象深い投稿を見たので、久しぶりにキャリアの話をポストするでござる。

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最近(というわけでもないのだが)、こんなスペックの方から、キャリア相談受けます。
・20台後半〜30台くらい
・ネット業界、ビジネス系
・オペレーションはかなりできる。マネージャーで部下をマネージもできる。
・採用もできる
・新しいことにチャレンジしたいけど、自分で起業する程ではない
・日本で数人のアーリーステージのスタートアップに入るのは(年齢的に、あるいは家庭があったりで)怖い
・かと言って、50-100人くらいの上場前後の会社に入ると、今やっていることを繰り返すだけなのでつまらなさそう
要は、今の仕事ももちろん楽しいけど、キャリアに行き詰まりを感じる、このまま出世してもたかが知れてる、という相談です。
(「このまま出世してもたかが知れてる」というのは、本人がそう言う場合が多くて、実際にはそんなことないんじゃないかなぁとも思うのですが、まぁ本人がそう感じてるということですね。)

私が考えるキャリアの原理原則の一つに、「一つの仕事を真面目に5年ぐらいやると、その仕事をしっかりこなせるようになるが人は飽きる」ということがあります。もちろん、仕事の難しさや深さにもよりますが、そこそこの能力のある人が5年間一生懸命やれば、その領域について「目をつぶっていてもしっかりこなせる(?)」域に達することはそれほど難しいことではないと思います。

で、このポストを読んで「ああやっぱり」と思ったのは、動きが早いと言われるインターネットの業界でも、この原理原則は当てはまるんやなあということです。

で、曲者なのは、「しっかりこなせる」ようになった後にどうするかということです。選択肢は、いくつかあります。

  • 新しいフィールドに移る。新しい職種に挑戦する、高位のマネジメントを目指す、新しい製品・サービスを担当する、新しいマーケットを担当する、新しい国に移ってみる。これまでの経験が生きて、ニーズがある分野に移ることができれば、キャリアとしては美しいし世の中のためにもなります。ただ、「相手」のいる話でもあるので良い機会を実現するにはご縁が必要。

  • 今やっている仕事で第一人者・プロフェショナルを目指す。目をつぶってもしっかり仕事ができるのは、その分野で名が通って社外からも声がかかる第一人者になるということとは違います。仕事がそこそこできる人はゴマンといますが、第一人者は少ないので、第一人者まで行くと見えてくる景色も違いますしキャリアとしても盤石なものになります。ただ、この道を究めるという覚悟が必要。
  • 今の仕事をベースに、(社内でも社外でも)理想とリーダーシップを持って自分で新しい地平を開く。渡された予算を実現するとかわかりやすい問題を戦力としてハキハキ処理することと、自ら困難な目標を打ち立てて新しい取り組みをすることはまったく異なります。組織や世の中に対して発揮するバリューも違うし、自分の器も一段高いステージに。ただ、自ら理想と目標を描く必要があります。

ここでポイントとなるのは、仕事がそこそこできるようになった後のステージに進むには、自らの強い意思かめぐり合わせかどちらかが必要で、容易なことではない、ということです。また、会社(日本企業では人事)は自分の想いとは別の思惑を持っていたりそもそも思惑を持っていなかったりするので、次のステージに進めるかどうかを組織任せ、運任せにしたくなかったら、自分で意思を持って行動しなければなりません。ただ「あーこの仕事はもう飽きたー」とぶつぶつ言っていても、報酬が良くて楽しくて充実感も感じられる次の仕事がまわってくる確率は高くないですよ、というお話。楽で美味しい話は、そんなに世の中転がっていないんだなあとしみじみ思う三十路です。

第四の選択肢として、今の仕事をきっちりとほどほどにストレスなく続ける、という選択肢ももちろんあります。ただし注意点は、この選択肢にはリスクがあり、慣れた仕事で成果も上げてプライベートの時間もとれてよかったよかったとなれば現代的理想で素晴らしいのですが、気が付くと「自分が知っている仕事しかできず幅の狭い窓際のオッサン(男性の場合)」になってしまう危険もはらんでいます。特に、世の中のトレンドで自分がやっている仕事が陳腐化したり所属している会社が潰れたりするとこの危険があります。もちろん、所属している業界や(大)企業によっては、理想のパターンで人生を終えられるを可能性もありますが、楽すると将来苦労する可能性がある、努力とリターンというのは長い人生で見ると釣り合っているんだなあとしみじみ思う、三十路です。