仕事ができるようになるとはどういうことか

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Original: Camera Eye Photography / Flickr

日本もすっかり寒くなってまいりましたがみなさまいかがお過ごしでしょうか。シカゴはすでに初雪が降ったそうで、それに比べれば東京は暖かいはずなのですが、家の中は東京の方がシカゴよりも寒く感じられます。東京の家はシカゴの家より壁や窓が薄いのかもしれません。

さて、日本に帰国して新しい職場で働くようになり数ヶ月が経ちましたが、久しぶりに「新しい職場で新しい仕事をする」という経験は、「仕事ができるようになるとはどういうことか」ということを考える良い機会になりました。少し抽象的には、以下のようにまとめられるのかなと思っています。

「仕事ができるようになるとは、(1)付加価値のあるアウトプットを(2)素早く正確に(3)出せるようになること」

当たり前のように感じられますが、なんとなく自分としては面白いことに気づいたなと思っています。

(2)素早く正確に
説明の便宜上、まずは「素早く正確に」から。これは、実務を学ぶということとニュアンスとしては近いのかなと思っています。

例えば、ある資料を作成する際に、その資料の参考となる以前の資料や情報が社内のどこにあるのか。ぱっと自分が過去に携わった仕事の知見からイメージがわけば話が早いですが、もしかしたら同僚が保存している共有フォルダの中にあるかもしれないし、同僚に相談したら出てくるかもしれないし、あるいは他の部署や社外の人に聞く必要があるかもしれません。これらは情報のありかや情報を知っていそうな人を知っているかどうかということであり、相手が人であればその人と近く相談できる関係ができているかということになります。

手元に集めた情報を加工して何かアウトプットを作っていくのだとすれば、そのプロセスにはなんらかのツールを使って分析したり見せ方を工夫したりと作業があるはずです。こういう細かい作業をどれぐらいのスピードで正確に捌いていけるかは過去に同じような作業をしたことがあって気をつけるべきコツや効率的にやるポイントを押させているかどうかというところによります。

まとめると、「素早く正確に」、は「アウトプットを作り上げるために必要なプロセスに(工夫しながら)取り組んだ経験がどれだけあるか」に依存するような気がします。

(1)付加価値のあるアウトプットを
次に言えるのが、「何が付加価値かを理解できるか、考えらえるか」ということです。作業は数をこなせばできるようになりますが、何が仕事の付加価値かを本当に理解するためにはかなり頭を使いながら取り組んで、やはりある程度経験を積む必要があると思います。また、これは逆に言えば「何は付加価値ではないか(どんなことをしたらその業界でバカだと思われるか)」を学ぶということでもあります。

これは(2)の数をこなせばわかっていく作業の話とは違う難しさがあって、例えば営業であればどんなことでお客さんはよく悩むのかとかそこでどんなことを伝えたらウケる(可能性がある)かとか、さらに言えば個々のお客さんにどんなクセや個性があるのかを理解することであったりします。製品を作る仕事であれば、ユーザーが何を製品をどのように使っているかをきちんと理解することであり、その上でユーザーが本源的に求めていることが何で、さらに他社と比べて何がどのような理由で自社の強みになっているのか、なっていないのかを理解するプロセスでもあります。

これらの、その業界や商品で付加価値が何かを理解し、そのアウトプットを求めるための作業をどうしたら素早く正確に(ライトパーソンを知っているという意味もふくめて)こなせるようになるか、これらがいわゆる「業界知識」や業界の経験と呼ばれるものなのだろうと思います。私がある友人と話しているときに彼が言っていたのは「相手がプロかどうかは業界のトピックについてどれだけ的確に論点を把握していて何かしら自分の意見があるかどうかでわかる」ということ。言葉は違いますが、業界における付加価値が何かを理解しているということはそういうことかと思います。

(3)出せる
製品だとアウトプットを出すのはモノを出すということだと思ったのでここでは「出せる」と書きましたが、ビジネス職であればこれは「コミュニケーションをとる」と言い換えても良いように思います。

これは、広い意味に言えば業界知識ではなく社内外を問わず相手とどのようにコミュニケーションをとるかという意味であり、狭い意味で言えば自分が相対する社内外の相手のことをどれだけよく知って適切にコミュニケーションをとることができるかという話かと思います(後者は、その業界が狭い業界であれば「業界知識がある・経験がある」と同義であると言えます)。

会社ではなくその人に付加価値としてバリューが付くレベルの人材になるためには、ジュニアであれば深い(2)の知見が、シニアであれば深い深い(1)と(3)の知見(と望ましくは(2)の経験)が必要になると考えます。また、社内で新しい仕事に異動をした場合も、何をキャッチアップすれば良いんだっけということをざっくりと考えるとこの3つに集約できるのかなあと思う次第です。